成年後見を使うと資格を失う? ― 欠格条項の削除と個別審査への移行
かつて成年後見制度(特に成年後見人が付く「後見」類型)を利用するうえで、大きなハードルとなっていたのが、法律上の「欠格条項(けっかくじょうこう)」でした。
以前は、成年後見制度を利用して「成年被後見人」になると、各種法律の規定によって、国家資格(医師、弁護士、司法書士など)や公務員の職、会社の取締役などの地位を、一律かつ強制的に失う仕組みになっていました。この一律のペナルティが、本当は制度が必要な方の利用を躊躇させる大きな要因となっていました。
1. 一律排除から「個別審査制度」への大転換
こうした不当な差別や人権侵害を防ぎ、制度を利用しやすくするため、一律に資格をはく奪する「欠格条項」を原則として削除する法律が成立・施行されました。これは2016年に成立した成年後見制度利用促進法に基づくもので、2019年に関連法を一括で整備する法律(一括整備法)が成立し、見直しの対象は約180の法律に及びました。
現在は、後見制度を利用しているからといって自動的に資格や地位を失うことはありません。その代わりに、次のような考え方の「個別審査制度」へと改められています。
- 一律の資格はく奪を廃止(公務員などは欠格条項を単純に削除)
- 心身の故障や業務への支障の有無を、各制度ごとに個別に審査(医師・士業などは個別審査の規定を整備)
- 実質的に業務を行う能力が備わっているかどうかを適切に判断
成年被後見人・被保佐人であるかどうかで一律に判断するのではなく、心身の故障のため職務を行えない状態かどうかを個別に審査して判断する形に変わりました。これにより、認知症や障害がある方が成年後見制度を利用しても、そのことだけを理由に不当に社会的な機会を奪われることがないよう、環境が整えられました。
2. 成年後見制度の利用促進とこれからの展望
欠格条項が削除されたことで、民間企業や公的機関でも「認知症や障害があっても、後見制度を活用しながら自分らしく働き続ける」という選択肢が、現実的なものになりました。
成年後見制度は、本人から権利を奪う制度ではなく、本人の権利や財産を「守り、支える」ための制度です。「欠格条項があるから利用をためらっていた」という方も、安心して制度の活用を検討できるようになっています。
当事務所では、成年後見制度のメリット・デメリットを分かりやすくご説明し、申立ての手続きを全面的にサポートしています。少しでも不安な点がある方は、どうぞお気軽にライフマンまでご相談ください。
