知的障害を持つお子様のための成年後見と「親なき後」への備え

知的障害をお持ちのお子様がいるご家庭で、ご高齢になった親御さんから「成年後見制度」に関するご相談を受けるケースが、年々増えています。国の調査では、知的障害のある方は近年増加傾向にあり、現在は全国で約109万人と推計されています(療育手帳取得への理解が広がったことも背景にあるとされています)。

1. 成人後に直面する「親権」の終了と財産管理の問題

お子様が未成年の間は、父母の「親権」により、親が当然の権利としてお子様の財産管理や福祉サービス等の契約手続きを単独で行うことができ、何の手続きも必要ありません。

しかし、お子様が成人に達した瞬間、どれだけ重度の知的障害があっても親権は消滅します。法律上はお子様本人が独立した法律行為の主体となるため、親であっても勝手に預金口座を動かしたり、施設への入所契約を代わりに結んだりすることが難しくなる、という問題に直面します。

2. 最大の課題となる「親なき後」問題

親御さんがお元気なうちは、事実上のサポートとして、引き続きお子様の日常生活や金銭管理を支えられているケースがほとんどです。

しかし深刻なのは、親御さん自身の高齢化や体力の低下、認知症の発症などにより、これまでどおりの支援ができなくなったとき、そして親御さんが亡くなられた後の「親なき後」に、誰がお子様を守るのかという問題です。

後見期間が長くなるため、早めの備えが重要

認知症高齢者の方の後見と比べ、知的障害のある方の成年後見は、若い頃からスタートするため後見期間が非常に長くなるという特徴があります。だからこそ、親御さんが心身ともにお元気なうちから、将来を見据えてスムーズに次の世代や専門家へバトンを繋ぐ準備をしておくことが、極めて重要になります。

3. 専門職後見人の検討と生前対策

理想としては、お子様への情愛が深く、これまでの成長を見守ってきた親族が成年後見人になることが望ましいといえます。しかし、後見期間が長年に及ぶため、引き受け手が見つからないことも少なくありません。そうした場合には、司法書士や弁護士などの専門職後見人の利用を視野に入れることが必要です。

複数の制度を組み合わせた多角的な備え

成年後見制度(法定後見)だけでなく、親御さんがお元気なうちに将来の体制を整える「任意後見制度」や、お子様のための財産管理の枠組みを確実に遺す「家族信託(民事信託)」などを組み合わせた多角的な事前対策が効果を発揮します。

当事務所の司法書士は、知的障害や精神障害を持つ方の後見実務を長年にわたり直接担当しており、この分野の経験と専門知識が豊富です。

「自分が動けなくなったら、この子の暮らしはどうなるのだろう」という不安をお持ちの方は、お一人で抱え込まず、将来の安心設計のために、ぜひ当事務所へご相談ください。

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