遺言・遺言執行
1.なぜ今、遺言書を作成する人が増えているのか?
近年、遺言書を作成する方が増えてきています。遺言書は、亡くなられた方から残されたご家族に対する最後のメッセージであり、遺産相続をめぐる争いを未然に防ぐために非常に有効な対策となります。
「うちは財産なんてたいしてないから、相続トラブルなんて関係ない」とお考えの方が多くみられます。しかし、最高裁判所の最新の司法統計(令和6年度)によると、家庭裁判所における遺産分割事件のうち、全体の約8割が「資産総額5,000万円以下」の一般的なご家庭です。
遺産分割事件の遺産総額別の割合(令和6年 司法統計より)

データが示すとおり、財産がたくさんある方よりも、むしろ「自宅不動産と、わずかな現金・預貯金のみ」というご家庭のほうが、遺産をきれいに分けにくく、話し合いが円満に進みにくいという現状があります。
特に、「お子様がいないご夫婦の方」「再婚されていて前の配偶者との間にお子様がいらっしゃる方」「お子様を認知している方」「相続人以外の方(内縁の妻・介護してくれた長男の嫁等)に財産を譲りたいと考えている方」は、遺言書を作成しておくことにより、未然にトラブルを防止し、ご家族の負担を軽減することができます。
2.遺言書の種類とメリット・デメリット
代表的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違いについてご説明します。
(1) 自筆証書遺言
遺言者が遺言書の全文・日付・氏名をすべて手書きし、押印して作成する遺言書です。
- メリット:一人でいつでも作成でき、費用がかからず、内容を秘密にできます。
- デメリット:書き方のルール(方式)を間違えると無効になるリスクや、紛失・偽造のリスクがあります。また、原則として亡くなった後に家庭裁判所での「検認手続き」が必要です。
2020年7月より、作成した自筆証書遺言を法務局で安全に保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしました。この制度を利用すれば、紛失・隠匿のリスクがなくなり、死後の家庭裁判所での検認手続きも不要になります。当事務所では、この新制度を活用した作成サポートも行っております。
検認済証明書が付いた遺言書でなければ、不動産の名義変更(相続登記)を行うことができません。自筆証書遺言を発見された場合は、家庭裁判所での検認手続きを忘れずに行ってください。
当事務所では、自筆証書遺言作成サポート(文案作成)を行っています。お気軽にご相談ください。
自筆証書遺言作成サポート費用
| 自筆証書遺言作成サポート費用 | 33,000円(税込) |
|---|
※上記は遺産総額が5,000万円以下、かつ、相続人(受遺者含む)が4人以内の場合になります。上記以外の場合は、別途お見積もりさせていただきます。
| 遺言書の検認申立書作成費用 | 33,000円(税込) |
|---|
※その他実費(必要書類の取得費・印紙代・切手代)が必要になります。
(2)公正証書遺言
証人2人の立会いのもと、公証人が遺言者の口述をもとに作成する、最も確実な遺言書です。
- メリット:法律のプロ(公証人)が作成するため方式不備で無効になる心配がなく、原本が公証役場で保管されるため紛失や偽造のリスクもありません。死後の検認手続きも不要で、すぐにスムーズな相続手続きを始められます。
- デメリット:公証人の手数料(実費)がかかること、証人が2人必要なことなどが挙げられます。
当事務所では、将来のご家族の安心のために、より確実な「公正証書遺言」をお勧めしています。お客様のご希望に合わせて最適な方法をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
3.公正証書遺言作成の流れ
公正証書遺言は、以下の流れで作成していきます。当事務所が文案作成から公証人との打ち合わせまで一括してサポートしますので、初めての方でも安心してお任せいただけます。
ご病気や高齢で公証役場に出向くことが難しい場合には、公証人にご自宅や病院・施設などに出張してもらうことも可能です(別途費用がかかります)。
4.公正証書遺言の作成に必要な書類
公正証書遺言の作成には、以下の書類が必要となります。ご状況に合わせて丁寧にご説明いたしますので、まずはご参考になさってください。
- 遺言者本人の印鑑証明書(遺言作成時より3か月以内に発行されたもの)
- 遺言で相続人に相続させる場合:遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本(同上)
- 遺言で財産を相続人以外に遺贈する場合:その方の住民票(同上)
- 相続または遺贈する財産が不動産の場合:土地・建物の登記事項証明書・固定資産評価証明書(同上)
- 証人の本人確認資料(免許証のコピー等)
- 遺言執行者を指定する場合:遺言執行者の住民票(同上)
- その他公証人から求められた資料等
戸籍謄本(戸籍・除籍・改製原戸籍)、住民票(除票)、固定資産評価証明書などの取得手続きは、すべて当事務所にて代行(有料)することが可能です。「平日は役所に行く時間がない」「古い戸籍の集め方がわからない」という方も、どうぞ安心してお気軽にご相談ください。
5.公正証書遺言作成サポート費用
| 公正証書遺言作成サポート費用 | 66,000円(税込) |
|---|---|
| 証人費用(2人) | 33,000円(税込) |
| 遺言執行費用 | 遺産総額の1.1%(最低33万円) (税込) |
※公正証書遺言作成サポート費用は、遺産総額が5,000万円以下、かつ、相続人(受遺者含む)が4人以内の場合になります。上記以外の場合は、別途お見積もりさせていただきます。
※その他実費(必要書類の取得費・公証人の手数料)が必要になります。
6.法律行為に係る証書作成の手数料(公証人手数料)
公正証書遺言を作成する際には、上記の当事務所のサポート費用とは別に、公証人へお支払いする手数料が必要になります。手数料は遺産の価額に応じて以下のように定められています。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円を超え 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円を超え 200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円を超え 500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円を超え 1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円を超え 3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円を超え 5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円を超え 1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円を超え 3億円以下 | 4万9000円に 超過額5000万円 までごとに 1万5000円を 加算した額 |
| 3億円を超え 10億円以下 | 10万9000円に 超過額5000万円 までごとに 1万3000円を 加算した額 |
| 10億円を超える場合 | 29万1000円に 超過額5000万円 までごとに 9000円を 加算した額 |
公証人手数料の計算ポイント
遺言書の手数料の計算には、いくつか注意すべきポイントがあります。
- 各相続人(受遺者)ごとに財産の価格を算出し、上記の基準表に当てはめて、各人ごとの手数料を計算します。その合計額が、その証書の手数料の額となります。
- 全体の財産が1億円以下の場合、上記により算出された手数料額に、1万3,000円が加算されます(遺言加算)。
- 原本の枚数が法務省令で定める枚数(横書きの場合は3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに300円の手数料が加算されます。さらに、遺言公正証書の原本は公証人が保管するため、遺言者には、公正証書の内容を記録・記載して、その内容が公正証書の記録内容と同一であることの証明を付した電子データ又は書面(従来の正本に相当するもの)および公正証書の内容を記録・記載した電子データ又は書面(従来の謄本に相当するもの)を作成して交付することになりますので、その手数料が必要になります。
この従来の正本に相当するもの及び謄本に相当するものを電子データで発行する場合の手数料は、各1通当たり2500円となります。
また、これを書面で発行する場合の手数料は、発行された書面の枚数に1枚当たり300円を乗じた額となります。 - 祭祀の主宰者の指定は、相続または遺贈とは別個の法律行為であり、目的価格が算定できないため、その手数料は1万3,000円となります。
- 遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合、公証人が出張して公正証書遺言を作成します。この場合、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに遺言加算手数料を加えます。さらに旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。
総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、4万9000円です(なお、下記のように遺言加算があります)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万9000円、長男の手数料は3万3000円となり、その合計額は8万2000円となります。ただし、手数料令19条は、遺言加算という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、1万3000円を加算すると規定しているので、8万2000円に1万3000円を加算した9万5000円が手数料となります。
※詳しくは、最寄りの公証役場でご確認ください。