数次相続とは
被相続人の遺産分割協議前に相続人が死亡してしまった場合、その地位を亡くなった相続人の法定相続人が引き継いだ状態のことを言います。
例えば、A(夫)が死亡し、妻B・長女C・長男Dの3人が法定相続人であった場合で、父の相続について遺産分割協議が終了する前に、長男Dが死亡してしまうような状態のことです。
遺産分割協議
本来、Aの相続について、B・C・Dの3人で遺産分割協議を行うところ、Dが死亡しているため、Aの遺産分割協議をB・C及びDの相続人であるBがDの立場で遺産分割協議を行うことになります。
このように、相続手続きが終わらないうちに、その相続人間で新たな相続が発生し、相続が重なる状態のことを「数次相続」といいます。
では、Dに妻甲及び長男乙・二男丙がいた場合はどうなるでしょう。
この場合、Aに対するDの相続権が、Dの妻甲及び長男乙・二男丙に相続され、Aの相続についての遺産分割協議は、B・C及びDの相続人である甲・乙・丙の5人で行うことになります。
DがAよりも先に亡くなっている場合の代襲相続との大きな違いは、Dの妻甲にも、義父であるAの相続権が発生するところです。これは、甲がDを代襲相続するのではなく、Dの持つ相続権をその相続人として引き継いだことによるものです。
復習(代襲相続)
相続の開始時に、本来相続人となるべき人(被代襲者)が被相続人よりも前に亡くなっていた場合、その法定相続人となるべき人に代わって、その人の子(代襲者)が相続をすること(詳しくは、8月のコラムをお読みください)。
事前対策
上記のように、Aの相続開始後、遺産分割協議が行われないまま、次の相続が発生すると、相続関係が複雑になり、遺産分割協議が難しくなることが多々あります。
そのようなことが無いように、Aが生前に遺言書を残していれば、相続人の負担を軽減し、相続手続きをスムーズに行うことができます。
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